一変した秩序
今回の、たった2週間あまりの出来事で、世界は一変した。ひとつは、第2次世界大戦の戦勝国5か国主導の統治という前提。戦後米ソ冷戦が長く続いたけれども常任理事国たる国が主権国家の隣国に白昼堂々侵略戦争を仕掛けるなど想定外もいいところ。こういう事態は国連は想定していない。もうひとつは核不拡散。厳格な管理とプロトコールの下で核は常任理事国の5大国に独占させ他には持たせないという均衡で戦後やってきたのに、あろうことかその大国から持たざる隣国が脅されるというこれも戦後の国際秩序を逸脱した事態が起きている。アメリカは「核戦争につながるから」でという、ある意味全うな理由で直接の武力介入を回避しているので、この状況をみている中小国は「なんだ核を持っている国に侵略されるとなす術ないのね。やっぱ核は自分持っておかないとえらいことだなぁ」という認識になる当然の帰結かもしれない。北朝鮮なんかは「核を持っておくとやっぱアメリカは手出ししてこないんだ、やっぱ苦労して持っておいてよかった」と思っているはず。平和と安全の前提を根幹からひっくり返したロシアはもはや国連の常任理事国たる資格はないし、ペナルティボックスに今後100年くらいぶち込まれるべきだが、「第2次世界大戦の戦勝国5か国」による統治に代わる統治を果たして見出していけるのか、なんかとてつもなく高い問題が、たったこの2週間で出てきたのだなぁという嘆息に苛まれる毎日。