#lastgeneration
きょう6月4日は天安門事件があった日。あれから33年。当時僕はアメリカ留学に向けた勉強を始めたところで、毎日結構な時間を使ってTOEICやGMATの勉強をしていた。英語漬けの毎日の記憶と相まってこの事件のこと、ニューズウィークなどでの報道のされかたをいまも鮮明に覚えている。ソニー時代、僕は中国には仕事で何回も行った。北京オリンピックが始まる前からの約10年間、驚異の発展の様を目の当たりにした。ソニエリ時代には中国人を部下に持って仕事もした。ソニーに戻ってからは交渉相手として中国人とわたりあった。出会った中国人は誰も本当に優秀で、かつ日本に対するレスペクトも親愛の情も持っている人たちだった。もしこの国がいまのような共産党支配の強権国家ではなく、西側のように自由で開かれた国であったなら、こうした優秀な人たちの能力を最大限生かしてこの国はもっとはるかに発展するだろうといつも思っている。日本とも、もっと発展的で進歩的な関係が築けるのに、両国が協力すれば豊かで発展的な東アジアを築けるのに、と心から思う。忌むべきは中国共産党支配であり習近平だ。天安門事件が彼らにとって禁忌なのは、この事件が検証されることで中国共産党の真っ黒な歴史までが表沙汰になることを恐れるからである。文字通り真っ黒な100年だ。そのことに中国国民を寄らしめず知らしめずでここまでなんとかやってきたが、今回の上海ロックダウンはその黒歴史の共産党支配の本質を図らずも中国の未来ある若い人たちに見せてしまった。#lastgererationというハッシュタグのことを昨日知った。これは「中国では自分の子どもを産みません」という若い人たちの意思表明らしい。豊かになった中国で生まれ、中国政府や自国の万能と明るい未来を信じてきた彼らが今回目にしたロックダウンを強いる共産党政権は実は「こんなひどい政府」だったということが白日の下に晒されたということのよう。その意味ではいい傾向だ。33年前は多くの若い人の血が天安門で流れたが、いまは若い人は一滴の血を流すことなく、静かに黙って国を去っていくということらしい。中国共産党が支配する中国の未来は全く明るくないし、明るくしてはいけない。
https://www.nytimes.com/2022/05/24/business/china-covid-zero.html