副業の普及がもたらすもの

2018年1⽉に、厚⽣労働省が定める「モデル就業規則」が改正されたことを契機に、副業は国策として推奨され、現在、⼤企業を中⼼に副業解禁の動きが広がっているそうだ。パーソル総合研究所が2021年8月に実施した「第二回 副業の実態・意識に関する定量調査」では、副業を容認する日本企業の割合は2018年の前回調査に比べて3.8%増え、条件付きも含めて回答企業全体の55%が副業を容認している。コロナ禍でリモートワークは完全に定着し、会社に通勤しなくていい時代になった。副業容認の流れによって、都市の⼤企業に籍を置きながら、自分の専門性やスキルを活かして、自分のふるさとや地⽅に何か貢献したいと考える人はどんどん増えているらしい。安倍政権の最初は地方創生が打ち出され、東京一極集中の解消の手段として地方移住が叫ばれたが、実際には自宅が現にあって、生活も便利な首都圏を捨ててリスクを賭けて地方に移住する人は、僕も含めてごくわずかだ。しかしリモートベースの副業となれば事態は異なる。むしろ自然な選択だ。本当に知らなかったが、現在こうした副業人材の斡旋・マッチングはいいビジネスになっているらしい。プラットフォームが乱立気味だ。こうなると問われるのは地方のほう。人材を募集してもいい人が応募してこない、だから採れない、自社の能力ギャップが埋まらない、新しいことがいつまでもできない、等々、たくさんの「エクスキューズ(言い訳)」が言えていた。実際、それが現実だったから。しかしこれからはどうも違う。自社で人を採用して教育する時代から、都市の専門性の高い外部人材と、共に働く、共に創る時代がやってきたといえる。発想の大きな転換が必要だ。うまく使えば地方の未来にも光明が差すのかもしれない。

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