話す力

昨日、ある40歳くらいの痩身の経営者さんと2時間半ばかり話する機会があった。初対面で名刺交換もそこそこに、最近のとあるエピソードをきっかけにその方は僕に向かってぶぁーっと話始めた。話の当否はともかく、いろんなエピソード、自分の想い・考え、聞かれてないことまで、軽快な語り口でいろいろ喋ってくださるというのは、熊本に来て以来初めてのパターンだったので、しばし聞き入っていた。まるで若き日のビートたけしを見るようだった。聞けばその方、希代の名営業マン。前職の会社では立派な数字を残されている敏腕の営業トークの持ち主だった。さもありなん。やはり人を動かすのは言葉なのだと思った。話が急に大きくなるが、三連休のあいだの日経新聞朝刊で「岸田首相に欲しい話す力」という題で論説主幹の署名記事があって、その通りだと思った。憲政史上初のカープファンの総理大臣ということで僕はこれまでどちらかというと「支持」寄り目線で岸田さんをこの1年間見てきたが、この人の、まるで学級委員のような優等生型棒読みスピーチはどんどん僕の心を萎えさせる。自慢の「聞く力」というのもどうも怪しい。聞く力というのは何もメモをとって記録することじゃない。話す力も、「ご理解が得られるまで説明し尽くす」ことでは全然ない。この人の場合、目の前のことへの好奇心というか熱量が足りてるのか、想いをちゃんと持っているのかという基本的な情動のところが、僕的には「?」になってきている。想いがあればああいう話し方にはならない。よほどおうちの教育がよかったのか、周りをよく見て減点を回避する学級委員的な優等生思考が、結果、大減点を食らっている印象。リーダーなんだからもっと自分の言葉でしゃべればいいのに、と思う。逆に想いがないんだったらリーダーなんかやっちゃダメだ。

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