犯罪白書

博多駅前で起きたストーカー殺人事件の犯人が捕まった。凄惨な事件だった。ニュースは基本事件事故を扱うのでニュースばかり見ているとこの世の中ロクなことがない気がしてくるが、実際には日本ではこのところ刑法犯の数は激減している。昨年12月に法務省が発表した犯罪白書によれば、一般刑法犯の認知件数は前年比7.5%減の56万8104件で戦後最少。その約7割を占める窃盗がコロナ禍で人流減少が影響したためか大幅減少したことが効いているが、殺人強盗の凶悪犯罪も戦後最低水準にある。統計的には日本は平和で安全な社会を実現している、ように見える。それでもこの殺伐とした不安な世相は何なんだろう。食うに困って、おカネに困って、の凶悪犯罪は確かに減っているが、その代わりというか、特殊詐欺、ストーカー、家庭内暴力、子ども虐待などは増えている。たぶん日本に特有なことではないのではないか。これも分断社会の副産物なのかもしれない。肥大化する自己愛、というか自分のことしか見えない思考回路と全然うまくいかない現実社会。いったん社会や個人に復讐するモードに陥るとどうにもならないみたい。イギリスのヘンリー王子の暴露本が話題になっているが、あれも「復讐」に囚われた人の行動の典型だと誰かがテレビで言っていた。犯罪白書には載らないが犯罪スレスレの歪んだ行動はむしろ増えているのかもしれない。

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