住民基本台帳人口移動報告

総務省が一昨日2022年の国内の人口移動状況を発表した。毎年発表されるものだがなぜか今年は総務省の発表資料まで覗いてガン見してみた。実に面白く味わい深い。ストックである日本の人口は少子化で毎年自然減が60万人を超える規模になったということは既にたくさん報道されているが、それとは別に転入出というフローの増減はまた別の意味を帯びる。人口減に苦しむ市町にとっては生死の自然減に加えフローの減の二重苦が襲うことになる。この資料で改めて思ったのは、3大都市圏、特に東京圏(東京/千葉/神奈川/埼玉)への転入超過のトレンドが依然続いているということ。高度成長期はピーク時で年間40万人、80年代以降もバブル崩壊やリーマンショック、今回のコロナ禍と、ときどき転入超過の規模が鈍る時期があるものの、基本年間10万人に近い転入超過が続いてきた。今回もいずれその規模に戻るだろう。東京一極集中の是正が叫ばれつつも、結局は東京に集中するという選択を国民はしている。ネット社会になって、どんな田舎でも映画館に行かずとも映画は見れるしアマゾンでどんなものも手に入る時代になって情報とモノを東京が独占する時代でなくなった。そんな新しい環境でも結局東京圏への集中は止まらない。まぁ、わかりますよ。東京圏と地方はリアルなパラレルワールドだ。公共交通機関を使えばクルマを持たなくてもどんなところにもたどり着く東京圏。仕事もおカネも友人も飲食もエンタメも全てある東京圏。地方にとってはパスポートの要らない海外だもの。少子化と同じで、人の本能的な「欲望」からくる行動や選択はバラマキやお願いでは絶対に反転できない。消滅危険といわれる地方に住んでみてそのことはよくわかった。そんな中でも福岡市が特異な磁力を持っていることはこの調査でもよく表れている。あと、65歳以上の限ってみれば、札幌市が全国ダントツの転入超なんですね。これは理由は明快(たぶん)。札幌は目下高齢者マンションの建設ラッシュ。いい施設がたくさん建って入居待機老人をたくさん産んでいる。道内だけではなく本州からも移住してくるらしい。日本の勝ち組は3大都市圏+札幌、福岡で決まりのようだ。やがて1億人をきって2100年には5〜6千万人といまの規模から半減する日本。いずれこれらの都市に人を集中させないと逆に持たない国にきっとなるのだろう。

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