隔世の感

昔、マツダに勤めていたが、その頃からライバル・ホンダには憧れというか大いなる憧憬を抱いていた。斬新でクリエイティブでセンスがよくて都会的だった。青山に本社があるというのもよかった。誰よりも早く米国現地生産を始めたのもホンダ。マツダに入って米国市場を担当したが、当時ホンダはアメリカ国民に圧倒的に支持され愛されていた。そんなホンダが四輪事業でかなり苦しんでいるらしい。知らなかった。これぞバイアスというべきもの。ホンダはいつもスマートにかっこよくいけているのかと思いきや、本当にそうではなかった。開示されているセグメント別数値で四輪事業の経年変化をみてみると、昨年度は売上はピークから2割も下がり、営業利益率はわずか1%。EV化とかなんとかいう前に既存事業の屋台骨が揺らいでいる。確かにNボックスは絶好調だが、所詮、「軽」だ。40年前の都会的な感じと違って、確かにラインナップみてもベタなクルマが多い。最近ではマツダのほうがはるかに存在感も高級感もあって支持されている。隔世の感とはこのことだ。これも知らなかったが、2020年には経産省主導で日産・三菱・ホンダの経営統合が画策されていたという。独立系でこれまでやってきたホンダがこれを飲むはずがないと思うが、ここまで四輪事業が痛んでくると、絶対とは言い切れない。販売生産台数的には盤石に見えるトヨタもEV化では完全に出遅れた。今回の社長交代は周回遅れのEV化宣言だったんだろう。ホンダはいち早くEV化を宣言しているが、それなら確かに単独で巨額の投資を背負えきれないだろうから、日産三菱と経営統合するメリットはある。いよいよ自動車も戦国時代なんだなぁ。

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