イテレーション

仕事で県北のとある町にきた。昨夜は露天風呂に浸かり、美味しいお料理を堪能し、その後ラウンジでお酒を吞みながら事業者さんと遅くまでいろいろお話しする機会を得た。とても参考になった。僕たちのような職種の人間は、決算の数字という目に見えるものをフックにいろんな経営上の問題課題を整理・抽出し、それらの問題の解決の方向性を「論理的に」組み立てて、発注者に納品する。極めて理詰めのお仕事。論理的には正しいが現場的には的を外していたり一般論で終わっていたりすることがしばしばある。視点を事業者さんの側に置くと、数字化できない、言語化できない、整理しづらい問題が日々わんさか現場で起きていることが手触り感をもって理解できる。それらの状況の中に本当に本質的な課題が見え隠れすることがある。診断士という仕事はまさに数字と現場、この論理と非論理の世界のイテレーション=いったりきたりの繰り返し=だなぁとつくづく思うし、そのイテレーションのプロセスがある意味僕らの本来の「価値」なんだと思う。かつては銀行の担当者が事業者さんのもとに足繁く通い現場を理解し事業者を理解して金融というサービスを提供していた、と言われている。しかし、この何年かの「働き方改革」で銀行の担当者は事業者のもとに通うことはほとんどなくなったと聞く。専ら事業者さんから毎月の試算表をもらうだけ。数字と現場、論理と非論理のふたつの世界は分断されその乖離は広がっている気がする。僕らの仕事はその2つの世界をつなぐいわば「水路」だ。もっといえば、水位の違う二つの世界をつなぐ運河のような機能なのかもしれない。そう考えると面白い。そんなことを考えながら今朝も長く露天風呂に浸かってきた。

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