潜伏キリシタンの歴史

五島。いい旅だった。知らない土地で知らないことに出会う。久々に旅の醍醐味を感じることになった。五島に行こうと思ったのは、NHKの朝ドラ「舞い上がれ」のあの美しい灯台のシーンだった。この風景を自分も見てみたいと無性に思った。で、実際に行ってみて、心が震えるくらい感動したのは昨日書いたとおり。しかし、五島を有名にしているのは、朝ドラよりも潜伏キリシタンの歴史だった。不覚にも僕は潜伏キリシタンの歴史については無知だった。現地に行ってみて、なるほどこういうことだったのかと学ぶことになった。帰りのフェリーでは、潜伏キリシタンを取り上げた小説、遠藤周作の「沈黙」をkindleでダウンロードして一気に読んだ。実に陰鬱で気が滅入る内容だった。キリスト教が禁教とされた徳川幕府下で信徒であることがばれて「当局」が信徒に加える拷問の残忍なこと… これはノンフィクションではなくて実際に起きたこと。そのことが五島や長崎の教会の展示をみるとよくわかる。時代が違うとはいえ、これは日本の黒歴史だと思った。島原の乱の鎮圧は紛れもないホロコーストだった。その後の250年にわたる鎖国。鎖国下の内向きで排他的、過度の同質性・同調を強要する文化は今につながるものがある。潜伏キリシタンへの弾圧は目を背けたくなるような歴史だが、自分の国や民族を知る上で目を背けてはいけないのだと思った。それを知ってか知らずか、よくこの物語で長崎を世界遺産に登録しようと思ったな、日本政府。次は、島原、天草に行ってみたい。

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