他責世代

衝撃の本だった。大学の先生が自分の大学の大学生を素材に書いた「先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち」--- 「いい子」は昔からいた。ひょっとすると僕も「いい子」だったかもしれない。しかしきょーびのいい子は僕の想像をはるかに超えた同調/他責モンスターだった。過度な平等志向、目立つことへの恐怖=出る杭には絶対にならない/なりたくない、自分では決められない/決めたくない、競争回避/協調優先、異常なまでに低い自己肯定感/効用感等々。なんでここまでになったのか。バブルが弾けてからの失われたウン十年の中で生まれて育った子たち。文科省が2000年代に始めたゆとり教育の罪も相当重い気がするが、原因がどこにあれ、結果この状態はもう異常というしかない。所謂「引きこもり」は極端な例かもしれないが、社会を担う現役世代の相当の数が程度の差こそあれ「社会」と「自分」の間に「一線」を引いてしまっているのではないかととても不安になる。きょう奇しくも出生率が過去最低を記録したとのニュース。これから政府が子育て支援でいくらカネをばら撒いても、この不活性な、世の中と一線を引いているかのような若者では何も変わっていかないのではないかという気持ちになった。「親ガチャ」という言葉がここ数年流行ってきたのもようやく腑に落ちた。要は全て他責なのだ。自分は空洞。自分から環境に働きかけて行動して変えようというマインドはそこにはない。日本はたぶん「人口が減る」ことが問題なのではない。この「我関せず」の態度と行動様式が我が国の国民性として定着してしまうことが一番怖い。

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