日本の電機産業はなぜ凋落したのか

こんな本を読んでいる。「日本の電機産業はなぜ凋落したのか ~ 体験的考察から見えた五つの大罪」 著者は僕とおない年。86年にTDKに入社して、2000代年以降落ち目になってズタボロになっていく電機産業の中で翻弄され、最後はTDKが事業を売却した先で結局その事業は撤退中止となってご自身までもがリストラされた、という経歴の持ち主。おとうさまがシャープの副社長まで務められたということで父子2代にわたって電機産業の生々流転を目撃したという意味でこの産業には並々ならぬ思いがあるのだろう。まだ最後まで読んでいないので読後感をいうには早いが、読み進める中で、ああ、同じ時代を見てきたのだなぁという同世代感はひと際強い。最近テレビをみていると、その日本の電機産業が売り払った家電事業が堂々テレビ広告を出している。あんなにスタボロになった事業も経営する主体が日本人でなくてアジア系になってもちゃんと復活するんじゃん。結局、日本的経営というヤツが諸悪の根源なんじゃないかという気もするし、現にこの本が恨めしそうにツラツラ書いているのも結局そういうことのような気がする。「ロシア軍はなぜかくも弱いのか」という話をこの前BSの討論番組でやっていてなるほどと思ったのは、ロシアは徹底して「命令戦術」らしい。上が命令して下に従わせる形。対して西側の軍は命令ではなくて「任務」を与えるのだそうだ。任務の達成の仕方の細部まで統制せず下級部下を信頼して任務を与えると。なんかサッカーに似ている。あの東芝がダメになったのも結局任務戦術とは程遠い命令戦術の末路だった。結局ロシア軍と同じですよ。現場無視して無茶な命令下す上。考えることを放棄してそれに諾々と従う部下。戦前から繰り返されてきた閉じた社会の悪弊。本読む前から結論はわかっている。

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