夏の読書④
4冊目は「資本主義の次に来る世界」--- 際限のない自然破壊、多様だった種の急激な減少/絶滅、生態系の破壊、温暖化、異常気象… それらの災厄をもたらしているのはは一に強欲、格差/二極化を生む仕組みを内包した資本主義にあり、地球を取り戻すには資本主義を超えた原理にこれから生きましょうという、啓蒙というか警鐘というか、そういう本だった。資本主義こそこの世に技術進歩と豊かな暮らしをもたらしてくれた原理、大企業だけではなく、その辺の小規模/中小企業だっておカネを借りてリターンを増やして拡大した資本もまた再投下すると原理を教えられ、信じてきたし、実践してきたので、かなり眉唾モードでおそるおそるこの本を読み進めたが、読後感としては、いってることはまぁ理解できなくもない感じ。裸の資本主義は確かにつまるところ強欲そのものであり、裸の強欲は非人間的である、というのはそうかもしれない。この何百年、資本主義はいろんな辺境/フロンティアを求めて、いい言い方をすれば開発、しかし実態は収奪と破壊を行ってきたのは事実。ここ10年、低成長の時代になって資本主義の限界がささやかれだしたときの論拠は、要するにもう辺境はないでしょ、だった。それくらい地球の隅々を開発し、時間すら、ナノセックレベルのオンライントレードで儲ける技術を探索し、おカネに変えられるありとあらゆる可能性、機会、モノを探し出し、それらを開発し、おカネに変えてきた。結果、冨は異常なほどの偏在し、持たざるものが住めない、生きられない星にしてしまっている、というのはその通りかもしれない。かといって、急にみんなでアニミズムの世界に戻りましょうと言われても全然現実解な感じがしない。資本主義を否定するのはいいが、それ以外の生き方を僕らは知らない。まぁしかしこういう本が広く読まれるようになったのはすごいことかもしれない。アメリカの分断というのもその深淵がわかる。トランプが極左といって糾弾する環境派、左派はこの本によれば原理的に資本主義を否定する立場なんだろう。裸の資本主義を体現する強欲の権化のようなトランプが彼らと共生するはずがない。アメリカの分断は絶望的なほど深いということだと思う。プーチンも習近平も、彼らの強権国家体制はいずれひっくりかえると思うものの、その前にアメリカが内戦状態に入るかもしれない。環境問題はある種の新しい宗教戦争の入り口なのかもしれない。