巨視的センス

「ブラタモリ」はいつ観ても面白い。そしてためになる。第1シリーズは2009年からというからもう10年以上だ。いいとも!が終わってタモリが全国に行けるようになった2015年の今のシリーズから俄然面白くなった。ちょうど地方創生とか言い出した時期と重なる。最初観光番組みたいな見方もあったけど、中身は完全に地質と歴史に関する高度な教養番組だ。つまり、人は大地とどう関わり生きてきたか。日本は都市化が進んでもう地形を肌で感じられるようなところは少ない。首都圏は全てアスファルトで覆い尽くされている。しかし熊本は少し違う。阿蘇はもっと違う。阿蘇は9万年前のASO-4と言われる地球史的大噴火の痕跡は、早く国立公園に指定されたおかげもあって、本当に手つかずで残っている。縄文以来、人は地形をみて住む場所を決め、暮らしてきた。地形は究極の巨視的な判断軸だったし、地形を知ることが死命を決していたと思う。地域に残る「社」が村を守ると言われるのも、一番いい地形を選んでいるから。しかし、人はいつしかその巨視的センスを失った。地形が見えなくなった。阿蘇に住んでて面白いのはやはり地形。9万年の地形がそのまま観察できるから、1年、10年、100年のことなんてほんとちっぽけに見えるのかもしれない。きっとそうだ。

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