栄枯盛衰③

エンジン開発と最終組立を生業とするメーカーを生態系の頂点に据え、配下に数多の部品産業を擁する垂直統合型で付加価値を企業集団や地域にどっぷりと取り込んで自動車産業だが、5,6年前から言われてきた電動化、自動運転等がいよいよ現実のものとなってきた中で、自動車産業の生態系もいよいよ本当に変わるのだと実感する。その最たる例が、現在熊本に建設中のTSMCだ。デンソーの出資も決まった。ここで作るのは車載用の半導体。国が工場建設に補助金を出すということは、まさに経済安全保障の一環。国の最も重要な産業である自動車産業には半導体というキーデバイスが欠かせない、つまり付加価値の重要な一部をこのTSMC・ソニー・デンソーが担うということだ。その歴史の大転換を目撃しつつある。熊本という地域にとっては突如自動車産業が現出したようなもの。熊本は今後このTSMC/ソニーセミコンを中心に本当に飛躍的な経済発展を遂げるのだろう。まさに栄枯盛衰だ。

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