「まさか」から「なるほど」へ
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にハマっている。早いもので昨日で20話が終わった。これまでの時代劇の常識をいろいろ超えた型破り。現代風のコミカルな台詞や掛け合いは最初のほうは多くてそれはそれで楽しかったが、ここまで通してみると鎌倉政権確立の過程での権謀術数と多くの「死」が描かれ、その極限の状況における当事者と関わる周りの表情や台詞がひとつひとつ本当にドラマ。純朴で好男子だった義時がどんどんダークサイドに堕ちていく過程も面白い。脚本が秀逸なのはもちろんだけど、ギリギリを狙った時代考証、心情表現にぴったりの音楽、緩急自在の型破りの演出、そそて好演のキャストが全て見事にうまくつながっている希代のドラマな気がする。経営の世界では「いい戦略」というのは最初に「まさか」と思わせ、やがて「なるほど」に腹落ちするものだ。その文脈でいえば、三谷脚本が素晴らしいのは「まさか」をすごくうまく描く。義経の今回のキャラ設定はそれ。判官贔屓という言葉があるくらいヒーローとして愛されてきた義経をサイコパス気味の狂人と天才の狭間の人間として描いたのは観ているものの常識を壊しけど、確かにそうかもなぁという納得感もまたすごくあって、ほんとに面白い。