広島サミット

来年のG7サミットの開催地が広島に正式に決まった。岸田さんが首相になった去年からなんとなくそういう方向というのはあったが、今回のウクライナ侵攻でいまだにくすぶる「核戦争」の危険と脅威を考えると、被爆地に西側リーダーが集うということの意味はとてつもなく大きい。むしろ広島でやるしかないでしょう、という感じ。その昔、冷戦の最中「緊張緩和」というフレーズが連日メディアに踊るくらい核戦争の脅威が切迫していた時期、米ソ首脳会談を広島でやったらどうかという議論があったが実現しなかった。当時の中曽根首相は「米ソのリーダーはアタマを冷やすためにむしろ寒いところで会うべきで、広島のようなエモーショナルな場所は相応しくない」という意味のコメントをしていた。エモーショナル。平和資料館も原爆ドームも平和公園も確かに感情を揺すぶられる場所だ。なにせ一発の爆弾で10万人の人が即死し、最終的な死者は25万人、放射線の後遺症に苦しむ人は数知れず。ウクライナの現在の惨状も直視できないが、それとは桁も規模も違う悲劇が実際に50万人以上が住むところで起こった場所が広島だ。人類史上でも特筆すべき大量虐殺である。だからこそ、そして、核戦争の脅威をかつてなくリアルに感じられた今だからこそ、リーダーは広島に来て感じる意味があるのだろう。いつものサミットとは違い世界のメディアもこぞって来るだろうし取材し発信するだろう。おそらく世界の歴史に深く刻まれるサミットになると思う。7年に一度しか回ってこない日本開催のときに、広島選出の総理大臣。本当に歴史の巡り合わせだなぁ。

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