為替の思い出

円安が新聞の1面を連日飾るニュースになっている。金融危機下の1998年以来の24年ぶりの円安だとか言われると、いろいろ98年当時の思い出が蘇る。山一証券が潰れたのは97年の晩秋だった。大手都銀や大手証券が抱えている不良債権が次々明るみに出て大蔵省も支えきれなくなってその後間もなく次々再編が始まる。思えば日本の護送船団的ビジネス生態系の頂点に君臨していた金融セクターが最も辛い時期に突入する号砲だった。それ以来の円安だ。懐かしいとか言っている場合ではなくて、やっぱもうある種の有事なんだろう。「円安はGDPにプラスだから、中小企業や庶民は少し大変かもしれないが、結局GDPが伸びた分のパイの再配分の問題に過ぎない」と他人事みたいな涼しげなコメントをしている「専門家」がいるけれど本当にそうか。いま起きているのは為替の問題に加え、世界的な、しかもかなりすごいインフレ勃発、ってのが問題で、仮に為替がそのままでも日本が依存している食糧やエネルギーは爆上がり、それが為替でもっと悪化するということで、全然悠長に構えてられない気がする。コロナ禍で既に過重すぎる債務を抱えている小規模事業者は、このコスト高は本当にきついだろう。マツダにいた80年代後半、その当時は昼間の情報源はラジオ。社内のお昼の休憩時はお昼のNHKラジオのニュースが音声で流れていた。「円が最高値更新しました」のニュースを連日聞かされ、ただでさえおいしくなかった会社の弁当への食欲がさらになくなったものだった。いつ終わるとも知れぬ先の見えないコスト高は本当に辛い。そんなことを久々にリアルに思いだした。

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