回顧

長く生きていると、自分が関わった産業、関わった会社の盛衰やビフォーアフターが新聞等で解説されるより、よりリアルに俯瞰できる気がする。最初入社したのはマツダ。当時円ドルは250円くらいだった。生産の7割か8割を海外に輸出し円安のメリットを最大限享受していたが、ブランドイメージは弱く、中古車安→新車値引きの悪循環だった。その後の超円高で経営が悪化、ついにはフォード支配下に入り塗炭の苦しみを経たが、いまでは若い人の間では洗練された内外装のデザインで高級ブランドのイメージの会社に生まれ変わった。往時の安売りイメージからは考えられない変化だ。次に関わったのは関西電力。こちらも入社した当時は地域独占でぬるま湯の極致にあったが、阪神淡路大震災、円安、原油高の三重苦で僕がいた3年間は経営が大変だったが総じて地域独占の恩恵を受けていた会社だった。しかし311の原発事故という劇的な外部環境の変化は関電含めた電力会社の経営を一変させた。昨今の電力危機を見てもわかるとおり電力会社の経営はいまや徳俵である。外部環境の変化への脆弱性はドメインも地域も自ら「転地」できない規制業種のある種の宿命と限界だろうと思う。そしてソニー。入社した当時はアナログ全盛、スタミナハンディカムがバカ売れして空前の利益を叩き出していた。製品をひたすら作りまくる会社だった。しかしそこがピークで、他の電機メーカーと同じくIT化の津波に押し流される歴史だった。僕がいた18年間はずっと利益は下がり続け株価も最低を記録して本当に大丈夫かというところまでいった。いまソニーが無双状態なのは単純にいえばしがらみのないドメインチェンジ、大・転地だ。四半世紀かけて製品メーカーからコンテンツを中心としたグループ会社になった。若干乱暴に回顧すると、やはり自らを大胆に変革できたところが生き残る。変革の過程は本当に大変だけれど、結局自己変革できたかどうかで決まるのだなぁと一般論ではなくリアルにそう感じる。

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