小規模事業者支援の歴史①

きのうは、コーディネーターのお仕事をいただいている「熊本よろず支援拠点」が熊本市内で主催したセミナーに参加してきた。登壇されたのは立石裕明さんという、中小企業・小規模事業者専門 事業承継・事業再生コンサルタントで、この世界では非常に高名な御方。中企庁への小規模企業支援政策のアドバイザーとしてこの10年八面六臂の活躍をされてきたという。以前たまたまオンラインでお話しを聞く機会があって以来この方のお話しには強く興味と共感を持っていたが、今回熊本でリアルにお話しを聞く機会を得た。何度聞いても「へぇ」と思うのは、いまではだんだん当たり前になりつつある「持続化補助金」とか「モノづくり補助金」とかの小規模事業者向け支援の政策(補助金)がまだ10年の歴史もないという事実。現在、中企庁の政策の大きなバックボーンになっているのは、ひとつは1963年に制定された「中小企業基本法」。戦後の日本復興は鉄や自動車といった大企業を中心とした産業セクターごとの通産省主導の産業政策が牽引し、大企業中心の政策だった。そんな大企業と取引する中小企業は生産性や賃金などで大企業に劣位し、その格差の是正/解消を政策理念として中小企業基本法は制定された。しかし中小企業といっても大企業と取引できる年商数十億~数百億円の会社が中心。いわゆる小規模事業者は中企庁的には全く眼中になく、小規模事業者の支援は経産省の経済政策の範ちゅうというよりは社会政策、国民生活者支援の文脈だったそうだ。しかし年商がわずか数千万円の会社でも地域にとってはなくてはならない会社/事業は確かに日本にはたくさんある。否、日本はそんな会社ばかりだと言っていい。それらの会社のおかげで地域は小さな経済の輪を回し、その会社の周辺に何千万人という人々の暮らしもある。非常に日本的な風景であり事実。そんな小規模事業者を支援するという考えは実はそれまで国の産業政策のどこにも存在していなかった。それが大きく転換したのは、いまから8年前の2014年の「小規模企業振興基本法」の制定だった。それを国として哲学、考えをもってちゃんと支援するという方向に転換したのがこの小規模基本法だという。知らなんだ。つい昨日のことではないか。(続く)

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