経営人材育成塾

気仙沼市経営人材育成塾。前身の「人材育成道場」から通算すると9期目になる活動だ。震災後間もない2012 年、被災地の復興と未来創造の鍵は「人づくり」にあり、ということで、気仙沼の菅原市長が、「経済同友会」の協力を得て始めた人材育成プログラム。もう10年近く続く施策だ。僕の前職であるトーマツはこの活動の発足当初から運営に深く関わり、2017年からはトーマツ単独でこの塾の運営を受託している。僕は昨年トーマツを退職した身でありながら、有難くも今回は「戦略セッション」の講師役にお声がけいただき、昨日、今日と延べ7時間もの時間を「塾生」さんと過ごさせてもらっている。有難いことだ。この塾の運営にあたっては当然、市の予算が投入されている。市が毎年「今年も塾やります」と発表する度、「なぜ特定少数の事業者の勉強のために公金が投入されるのか、不公平ではないのか」という声が市民や地元メディアから上がると聞いた。それに対して菅原市長は「一人でも地域を牽引する事業者が輩出されることが政策目標だ」と批判に動じることは一切ないとご自身がおっしゃっているのを直接聞いた。こういうのを本当の「見識」というのだろう。尊敬する。地域にとって人材育成それ自体が公益性があるということだ。似たようなことは国の中小企業・小規模事業者支援政策にも起こりつつある。遍く広く事業者を「持続」させることがこの10年の政策の中心だった。しかし相次ぐ自然災害やコロナ禍等の外部環境、過重債務、深刻化する事業承継問題で、公平性ばかり言っていられなくなった。「自己変革に挑む事業者」「やる気のある事業者」に政策資源が傾斜配分される時代になりつつあることは経産省も公に認めている。事業再構築補助金はその走りだ。そういう時代性を被災地気仙沼は10年早く先取りしたともいえる。きょうも午前中2時間半のセッション。頑張ります。

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