挫折から10年
ここのところ、熊本市内までクルマで往復することが多い。往復2時間半にもなるクルマの運転のお伴はSpotifyのポッドキャスト。ラジオ番組の再編集版を聴く。結構面白いしタメになる。先日は、松井孝治さんという慶應の先生が話をしていた。この人は、通産省出身の元政治家。2001年に民主党から参院選で出馬、鳩山政権では内閣官房副長官をやられた。何よりKellogg(ノースウェスタン大経営大学院)の先輩だ。僕が渡米した1990年のご卒業。ちょうど入れ違いでお目にかかったことはない。歳もひとつ上の62歳。先輩だからというわけではないが、ラジオ越しにお話を聞いていると実に共感するところが多い。経歴も境遇も全く違い僕なんぞ足元にも及ばぬが、同じ時代を生きてきた人ならではの経験やモノの見方にすごく共感する。政治家は都合11年務められたことになる。民主党出身というと今じゃイロモノ視されかねないが、あの頃の、つまり政権とるまでの2000年代の民主党は松井さんはじめ気鋭の若い人がそれぞれの国家観を掲げて民主党から政界入りをし、自民党にとって代わるんだ、日本の政治を変えるんだ、という勢いと説得力があった。僕もその頃は民主党を応援していた。前原さんが好きだった。そして2009年、政権交代を果たしたがたった3年で挫折した。その失敗が安倍さんの復活のスプリングボードにもなったわけなので日本の政治にとってはよかったのもかもしれないが、あの頃、民主党を押し上げた政治への熱量、利権期待からではなく日本をよくしようというある種のピュアな理想主義からの政治への想いみたいなものを拾ってくれる政党や党派が今全然ないよなぁーと、松井さんの話を聞きながら思った。民主党が政権から滑り落ちてそういえばもう10年になる。いまの立憲民主党は無責任な指弾集団に堕してしまい往時の民主党とは別物だが、なぜあの民主党は失敗してしまったのか、もう一度よく考える価値はありそうだ。