挑戦しない/させない社会

青山学院大の原晋監督がいいことを書いている。「日本の社会全体に蔓延る『挫折不足』の大問題」原さんは言う-「社会全体が失敗をさせない風潮にあることです。失敗をさせないためには、挑戦もさせない。挑戦をするにしても、できるだけ周りが経験則や知恵を授けて、失敗を最小限にとどめている。つまり、リスクヘッジばかりの人生を歩ませている(中略)その結果、若者は敷かれたレールの上を歩くことに慣れてしまうのです。」まぁ、若者に限った話ではなく、いまの日本は社会全体が「怒られるか、怒られないか」でとるリスクの幅を決めているようなことになっているから、そりゃそうなるよね。「オマエ、責任とれんのかっ!」と面前罵倒指弾されたら、そんなヤツとっても面倒くさいから、はいはいわかりましたと、波風が一番立たないほうの選択肢をとる。バカじゃないのと内心思っても決して口には出さない。ましてや言い合ったりケンカしたりはもってのほか。かくしておのれの自尊心が傷つかない行動を結果みんながとるという社会になるが、不思議なことに、無理難題、不条理なことを主張するヤツは減るどころかむしろ増えている印象。顔と名前が見えないことをいいことにフルボッコで何言ってもいいようなSNSの世界が普及してからますますこういう社会になってしまった。かくして個々人の自尊心防衛の必要性と緊急性は高まり、お互いケガしないのが一番、極力相互干渉しないという社会のnormというか価値観は強まる。そんな大人に囲まれて、若者が挑戦しようとするわけがない。常識と思っていたこともいつの間にかそうでなくなり、権威も崩壊、なにが「正」かの基準もなくなった。原さんのいう「挑戦する心」なんてもはや希少資源になってしまった。これはなかなか解がない世界だ。

https://toyokeizai.net/articles/-/637174

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です