The Evil

正月3日目の昨日は、午前中箱根駅伝復路を観た後、年末年始に撮り貯めた番組を観た。「映像の世紀・バタフライエフェクト - ロックが壊した冷戦の壁」と、「世界ふれあい街歩き - ウクライナ キエフ 特別版」の2本。いずれも秀逸な番組で心を動かされた。バタフライエフェクトは過去の別々の回の放送の内容を「冷戦の壁崩壊」という文脈で再編集したものだったが、文字通りバタフライエフェクト…因果は巡る糸車だということを感じさせる内容だった。ドイツが再統一された1990年10月は僕はアメリカ・シカゴで留学1年目が始まったばかりの最中だった。とある授業が始まる前に西ドイツからの留学生が教壇に進み出て「祖国ドイツ統一に乾杯を」と叫んで持ち込んだあったビールをその場の学生みんなに配った。授業の前にビール!というのも驚いたが、それ以上にドイツ人である彼らの高揚した姿が忘れられない。東西ドイツの壁の崩壊からドイツ統一、冷戦の終結という流れはいまも世界史上に特筆される一大事件だ。昨夜の番組に写し出される映像を観ても、当時の東側の人々の絶望と怒りと解放の喜びの様子はものすごい迫力だ。昨年はソ連邦が生まれて100年という年だったらしいが、改めてこの100年、世界はロシア/ソ連という悪しき化け物に翻弄され続けてきたことを再認識した。体制維持が自己目的化している権威主義の彼の国ではプロパガンダ、フェークニュースは昔からのお家芸、風土病の類だ。ロシア/ソ連という国/政体が存在してきたことでどれだけの人々が苦しみ嘆き悲しんできたか思わざるをえない。2019年当時のウクライナの首都キーウの街を丁寧に映し出した美しい映像を見ると余計にロシアという魔物がしでかしたこと、彼の国が成してきた100年の罪への怒りがこみ上げてくる。

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