リーダーシップのお手本
日曜日に放映されたNHKスペシャル「ウクライナ大統領府 軍事侵攻・緊迫の72時間」は最近のNHKスペシャルの中でも出色の出来で、たぶんきっと何か賞をもらうのではないかと思うくらいの素晴らしい放送だった。大統領側近の当事者たちに直接インタビューしていて実相が本当によくわかった。ウクライナはこうして侵攻から1年経ってもロシア相手に祖国防衛に必死に戦っているが、それがあるのも一刻一刻のリーダーの決断と行動があってこその結果だということがよくわかった。リーダーシップとは何かというテーマは僕の仕事(中小企業支援)でも向き合わないといけない大事なテーマで、要するにリーダーシップとは、その人個人の已むに已まれぬ想いからたった一人でも始める行動が原型であり、ある意味すべてであると教えられたし、そう伝えるようにしている。今回のゼレンスキー大統領はまさにリーダーシップのお手本のような決断であり行動だった。ロシアの斬首作戦の標的は自分であり、暗殺の危機がすぐそこに迫っている中、首都キーウにロシアが侵攻し、ロシアと通じた工作員がすぐ周りにいるかもしれないという最大の恐怖を感じざるをえない環境下で、亡命はしないと決め、地下壕を出て、大統領府の前に出て、自撮り撮影で自分は逃げないと世界に発信したあの瞬間が、まさに今回の一連の流れの中で大きなターニングポイントだった。あのビデオが出たときは世界が衝撃を受け、ざわついた。本当に大丈夫か、ピンポイントで爆弾が飛んでくるぞ、危ないぞ。その死んでも構わない覚悟を決めた人の行動に対する衝撃が一気に観るものの共感を生んだ。西側世界は一夜にして様子見から絶対的フォローの姿勢に変わった。リーダーの已むに已まれぬ想いがいかに周りを魅了し行動変容させるか。こんなお手本的事例は滅多にない。リーダーたるもの、かくありたいものである。