異次元総括

昨日一昨日と水俣に仕事のお泊りで外出していて、日曜日の夜に放送されたNHKスペシャル「証言ドキュメント 日銀 “異次元緩和”の10年」を見損なったので、昨夜録画でようやくみた。黒田総裁以外の当事者たちの証言というので期待してみたが、うーん、結局よくわからなかった。当代一の経済専門家たちが束になってかかってもインフレ目標はついぞ達成されなかった。その理由は知っててあえて言わなかったのか、本当に整理できなかったのか、番組をみてても皆目わからなかった。物事には光と影、功と罪があるので、この10年の金融政策が一方的に間違いだったとは思わないが、10年間アクセル全開できた結果の、この日銀が背負いこんだ巨額の国債残高はやはり恐ろしい。番組の最後に日銀元理事が、この10年の政策の後始末は5年では無理、10年20年かかると言っていたが、それだけは本音だろうな。しかも相当のタイトロープなんだと思う。10年間とっても危ない「実験」をやって、結果、何にもわからんかったんかい、と突っ込みたくもなる。控えめに考えても、爆増する年金生活者の年金を現役世代の負担で流し込むという、日本が世界に先駆けてやっている仕組みというか実験がそもそも経済を冷え込ませ続けた元凶です、というのがこの10年起きたことのもっともシンプルな説明だと思うが、それは誰も正論すぎてオモテでは言えないんだろう。年金生活者はもらった年金を貯めこむだけでおカネを消費には回さない。年金制度維持の十字架を背負わされている現役世代は高い租税負担率に耐えかね、生活防衛のため子どももつくらないし消費もしない。日本の高齢化の悪循環は全世代の消費を萎えさせている。結局、異次元の金融緩和は株高と不動産高で金持ちをさらに豊かにさせただけという… まだまだ高齢者/年金生活者が増え続ける向こう10年、本当の異次元はここからかもしれないのに。

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