時価総額第2位②
昨日からの続き。昔のソニーはプロダクト覇権主義だった。どんなカテゴリーでもナンバーワンでなければやる意味がない。日本ナンバーワン。世界ナンバーワン。その意気やよし。その昔、広島の自動会社にいて、通産省から来た役人あがりの人が社長になったときに「私たちは圧倒的なナンバースリーを目指す」という所信メッセージを聞いて、よしもと新喜劇くらいずっこけそうになったが、これだけ明るく無邪気にかつ真剣に世界ナンバーワンを上も下も連呼するソニーという会社をみたときは驚愕した。ともあれ、そんなプロダクト覇権主義はiPhoneの登場で事実上敗北した。時価総額ナンバー2のソニー、ナンバースリーのキーエンス。共通するのは「ソリューション」ということではないか。いまのソニーは吉田さんもあちこちで言っているが、クリエーターのベストなソリューションを提供するということ。アップルにとってもソニーは唯一無二のイメージセンサーのプロバイダだ。この前ティム・クックが熊本まで来たのもビジョンプロに搭載する画像センサとディスプレイのデモを見に来るためだったのだといまになってわかった。その昔、半導体事業部はセット事業部の僕というかスレーブポジションだった。アップルへの外販開始は今にして思うとソニーの運命を変えた。部品屋になるな、と昔のプロダクト覇権主義の人は言っていたが、ベストな部品屋、否、部品を通じたソリューションプロバイダーになることでソニーはいまの地位を築いたのだと思う。当たり前のようだけど、性転換くらいすごいことだと思う。僕のソニーの卒業は放送機器を中心とするB2B事業本部だった。プロダクトを売ってナンボの会社で「ソリューション」という概念がすごく難しかった。それ、儲かるのか、から始まって、なかなか大変で結局道半ばでソニーを去った。原価計算から勤務管理、時間管理、人事管理、組織風土まで及ぶことだ。最後のプロダクト覇権主義のチャンピオンのトヨタが時価総額ナンバーワンに君臨している。日本の最後の希望のトヨタ。彼らもきっとこれからソリューションカンパニーに変貌していくだろう。変貌しないと生き残れない。