身の丈

昨日はビッグモーターの社長の記者会見が突如設定され、そのニュースで持ち切りだった。テレビやネットで僕も関心をもっていろいろ追いかけた。自分でも意外なことに、この社長、巷間言われるほど「悪党」には見えなかった。むしろマジメな人間に見えた。そんな不正を自分は知らなかった、と言っているのはたぶんウソではないんだろうと思った。ゼロから起業してたった一代で年商6千億円、従業員6千人の大企業にするなんて並大抵のことではないわけで、この人なりに一生懸命働いて生きてきたんだろうなぁという感想が沸いた。確かにビッグモーターのCM露出はすごかった。「5年連続ナンバーワン!」のフレーズはなぜかアタマに刻印されている。売上、利益、シェア... そうした「外から見えるもの」はすごかったが、企業風土という「外からは見えないもの」が全然身の丈でなかったというか全く未熟、未発達だったということだろう。きょーび、企業風土、組織風土は最も重要な競争力の源泉だと言われる。大手4社も渡り歩いて違う会社を目の当たりにしてきた僕には本当にそのとおりだと思える。よい会社、よい風土をつくる時間的な余裕と人材、考えがこのビッグモーターにはなかったのだろう。そして昨日の記者会見をサボった35歳の息子。こいつが諸悪の根源だと言われている。たぶんそうなのだろう。虎の威を借るナントカで、むしろ悪い組織風土を作ることを牽引したのかもしれない。いずれにしても、この会社にはもはや未来はない。行政も銀行も損保業界も助けようがない。何よりも本件は巨額詐欺罪で刑事事件になる。元工場長など現場の人間が被害者ヅラしてテレビでいろいろ喋っているが、最初に捕まるのはこうした現場責任者であり実行したメカニック、修理工だ。詐欺という犯罪を実行した以上それは仕方ない。本件は経営陣が責任をとるのはもちろんだが下が免責されるはずがない。犯罪は犯罪としてちゃんと立件してもらいたい。その上で経営陣も当然立件されいずれ裁判にかけられる。そして会社は破綻する。業務執行の責任者であり大株主の社長副社長は私財をもって執行責任、株主責任の両方を償うことになる。半世紀かけて築いてきた「城」があえなく更地に帰する。無情なものだ。「身の丈」って大事。改めてそう思った。

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