ウォークマンの日

きょうから7月。きょうは何の日かと調べてみたら「ウォークマンの日」だそう。1979年のこの日、カセットテープ再生の初代ウォークマンが誕生した。このウォークマンにはいろいろ伝説というか逸話が多い。録音機能のない再生専用のものが売れるわけがないと社内で潰されそうになったり、マーケティング調査を一切しなかった等々。当時音楽を外で歩きながら聞くなどどということはでっかいラジカセを背負って街を歩かない限り無理だったので、そもそもそういうニーズがあるかどうかは調べてもわからない、というのはよく考えれば当然のことだ。まぁ、これがいわゆる「見えないものを見る」力なんだと思う。見えているものを見るのは誰でもできる。いま顕在化していないニーズを五感で感じそれを可視化することは本当にその人/会社の持つ稀有な力なんだと改めて思う。ソニーはこのときデバイス(端末)という入り口が生活スタイルを作り高収益で入れ食い状態のビジネスモデルにつながることを学び、音や絵の再生デバイスと再生フォーマットづくりにますます邁進した。あれから43年。Proprietary(誰かのもの)なフォーマット競争はなくなりオープンでスタンダードなITフォーマットで誰でも再生デバイスはつくれる時代になったし、音も絵も動画もみんなスマホで観る聴く時代になった。ウォークマンはもはや骨董品の領域だ。それではソニーは音楽でビジネスをしていないのかというと、むしろ真逆で、最も普及している配信サービスSpotifyはソニーだし、ソニーミュージックが次々新しいアーティストを発掘し世に送り出している。Milet、YOASOBI、 SixTONES、NiziU、乃木坂、日向坂、欅坂等々、最近の新しい系で注目浴びた人たちはみんなソニー系アーティスト。ソニーはウォークマンを超えてコンテンツクリエーションの側で堂々メインストリームを張っている。すごい会社。「見えないものを見る力」はますます磨きがかかっている。

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