挑戦するNHK
大晦日の紅白歌合戦はいつにも増して面白かった。名前も楽曲も知らない新しいアーティストの演奏をたくさん聴けたし、安全地帯の再結成も桑田、チャー、世良のバンドもよかった。MisiaもSuperflyの至高のボーカリストの歌のよかった。これだけ贅沢な歌番組は紅白ならではだし大晦日ならではだ。何年もかけて演歌の出番を最小化して、多様化、先鋭化、タコツボ化するきょーびの音楽を全世代が楽しめるようにうまくセレクト/カバーしていると思う。ここまで若い人への訴求を紅白が意識しないといけないのはたぶんに受信料というNHK特有の問題があるように思う。昨年6月に公表されたNHKの受信料の21年度末時点の世帯納付率は78.9%。8割を切っている。県別の中身をみるともっと深刻だ。いわゆる人口減少県はものすごく高い。トップの秋田県は実に97.4%。一方、大都市圏は低い。東京が66.7%、大阪は66.8%。3世帯に1世帯は払っていないということだ。高齢者が支える受信料というビジネスモデル。新聞購読で起きていることとと同様にこの先は見えている。若い人が受信料の仕組みに背を向け続ければNHKはビジネスモデルの根幹を考え直さないといけなくなる。NHKの危機感はかなり深刻なんだろうと想像する。スマホの登場と普及は、メディアに限らず凡そ「マス」というものを消滅せしめて、コンテンツの制作と消費を「パーソナル」というマイクロな市場に溶かしている。NHKには本当に頑張ってほしいが、その先行きは限りなくハードルが高い気がする。