日本の財政

今年10月から始まるインボイス制度の発行事業者登録のため、昨日は税務署に行った。税務署には「日本の財政関係資料」と題する60ページもあるパンフが置いてあったので、持ち帰って読んでみた。さすがというべきか、財政に関わるいろんなデータがふんだんに掲載してある。その辺の教科書よりこの1冊を読むに如くはなしという感じ。要は超公債依存になっている日本の財政は危ない、財政健全化を図らねばということを切々と訴えている。財政積極派には蛇蝎の如く敵視される財務省だが、この冊子を素直に読むと日本の財政はもはや破綻寸前にあるように思える。一番驚いたのは巻末に掲げてある戦前からの債務残高対GDP比の推移。戦前は太平洋戦争のときに急伸したが、それでも200%。2022年度、つまり今年度は255%とあの戦時を超える。100年前の日露戦争のときは戦費調達のために小村寿太郎が奔走したと昔教科書に書いてあったが、日露戦争時でも75%くらい。100%に達しない。リーマンショックからのこの15年は311等の自然災害、原発災害、コロナ禍と未曾有のこと続きではあるが、結果、国の債務は天文学的な水準になってしまった。会社に例えれば売上の2.5倍の借入金残高。売上は伸びず、従業員は高齢化、固定費だけが青天井で増えていくという、典型的な問題会社のパターン。「固定費」が政治というポピュリズムで決まってしまう以上、やはりGDPという売上を伸ばすしか解はないように思われる。それはつまるところ生産性の問題に帰する。大企業はもっとレべチに稼げ、働く人をもっと企業セクターに移して効率よく稼げということになる。しかし実態は逆だ。人は消費しなくなった。高齢化とともに消費力はどんどん下がっている。マスな市場は存在しない。需給ギャップは20兆円とも30兆円ともいわれる。これをまた財政出動で埋めろという大合唱がこだまする。無理だ。そんなの。持続しない。結局のところ、問題の根本には「消費しなくなった日本人」問題がある。これを放置して財政健全化もへったくれもない。稼ぎがないのに贅沢な暮らしは維持できない。子どもでもわかる理屈。新年早々お先真っ暗な気持ちになる冊子であった。

https://www.mof.go.jp/policy/budget/fiscal_condition/related_data/202210_01.pdf

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