異次元の少子化
2022年の出生者数が80万人を切ったというニュース。日本人に限れば77万人だったとか。一方で2022年の死亡者数は過去最高の158万人超だったらしいので、差引約80万人の自然減。政令指定都市がひとつ消滅する勘定。去年自然減が60万人を超えたというので大騒ぎだったから、「減速が加速した」というと紛らわしいが、要するにギアがひとつ上に入った感じだ。改めて日経新聞1面が掲げたグラフをしげしげと眺めるといろんな思いがわいてくる。戦後ベビーブームの大きな波。人口が2億にいきそうな勢いで子どもが生まれた。僕が生まれた1961年は団塊世代と団塊ジュニアのちょうど狭間というか谷のところにあたる。団塊ジュニアが「僕たちは受験も就職もほんと大変だった」というのはこれをみると本当だったんだなぁと思う。そして、団塊ジュニアの次の波は結局来なかった。見事に来なかった。ここでもうある程度日本の人口減少の「大局」は決まってしまった。もうあとは「小規模化の再生産」だけである。異次元の対策を打ったところでもはや「焼石に水」だ。きょーび、これだけ多くの人が都会に住み、決して大きいとは言えない家に住み、赤子の頃から保育園、物心つけばおけいこごと、小学校から私学に行き、塾にも通い… 1人育てるにもいくらお金があっても足りないくらい。なんで少子化が続くのか、その理由はたぶんみんな経験的に知っている。逆に都会ではない地域、まさにいま僕が住んでいるあたりは、家も広くて、じいちゃんばあちゃんとの同居も多い。同居でなくても面倒をみてほしいときに割と近くに住んでいたりする。私学校も塾もない。そういうところでは1家庭に子どもが3人、4人といたりする。たぶんいまの少子化は生活至便な都会でめいっぱい背伸びと我慢で暮らしていることの帰結なのかなと思う。まぁしかしこの歪な人口構成はそのまま僕らにいずれ跳ね返る。年金制度はいまの給付水準、受給開始年齢ではもたない。うんと減らされて70歳からね、といずれなるだろう。僕も含めてwe will have to pay the price anyway なのだ。