12年

あの日から12年。干支でいうと一回り。時間はあっという間に過ぎる。昨年の10月は2年半ぶりに気仙沼に行く機会を得た。三陸道が全線で開通、湾をまたがる大きな立派な橋もでき、海沿いで進んでいた区画整理復興事業はほぼ完了し、街は見事に蘇った印象だった。気仙沼も12年前、津波に襲われ過酷な状況に陥った。ここにその様子を収めたビデオがある。気仙沼でご縁をいただいているコヤマ菓子店五代目店主・小山裕隆さんが収録したビデオ。魚市場近くの建物の屋上から津波に襲われた一部始終が収めてある。後世の記録としての意識で撮ったのかどうかご本人に直接聞いたこともないのでわからないが、あの日何が起きたのかがこうして12年経っても、そのことをその場で見聞きしていない人にも、リアルに伝わってくる。この時期、このビデオへのアクセスが急増するらしいがさもありなん、大事なことだと思う。あのとき何があっていまがあるのか。街並みがきれいになった今だけを見ていては決してわからないし、それは正しくない。「あの日を忘れない」なら、やはりきょうという日にちゃんと見なくてはいけないものだ。

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