栗山監督に学ぼう
WBC優勝から1週間。もう1週間、なのか、まだ1週間なのか。時間感覚がおかしくなるほど僕たちは感動の映像群を繰り返し繰り返し消費して、それでもまだ足りないくらい。そして栗山監督がメディアに出ずっぱりでいろんな話をしている。面白い。栗山英樹は東京学芸大卒で歳は僕とタメ。選手引退後はスポーツキャスターや大学教授もやっている。プロ野球の監督で大卒で大学教授まで勤めたのは彼が最初らしい。あのロジカルで人の心に刺さる金言の数々はそうした積み重ねと引き出しからくるのだなあ。御託を並べるだけなら僕も含めて世の中にはたくさんいるが、あの超一流プレーヤーを率いて勝たねばならない/必ず勝ちます的に自分を追い込み、そしてあの極限状況を戦って世界一を勝ち取ったというキャリアというか経験は唯一無二。たぶん一生セミナーで食っていける笑。ネットでは栗山監督の名言集とかいうサイトもある。ちらっと見ただけでも金言の数々。WBCを勝ち抜いたという実績はこうした言葉を一段と輝かせる。言葉の力で牽引するスポーツ界のリーダー、特にプロ野球では少ない。先輩後輩、師匠弟子のタテ社会の規律の中で鉄拳制裁、暴力がいまでも横行している。上が教える、下が学ぶというのは疑いようのない前提だった。しかし、ネット全盛の時代、子どもたちは技術はもちろん、トレーニング方法や食事法をネットで学ぶ。今回のWBCでも実感したが二十歳そこそこなのに非常に高い技術をもった若い選手が次々出てきているのは間違いなくネット学習の成果だ。もう先輩たちが教えられることはないくらいだ。では先輩たちは、指導者たちは何を教えるのか。これってスポーツだけではなくてビジネスの世界でもたぶんそのままあてはまる。知識と実践で自分たちの経験値のはるか先を行く若いひとたちといったいどう向き合うのか。「栗山監督がその答え」というのは答えにはならないが、ヒントはたくさんありそう。舞台裏ばなしを聞いて「へー」と感心ばかりしているのではなくて、もう少し自分事として僕らの世代は彼から学ばねばならない。