希少資源の活性化

中小企業の経営の問題に携わっていて今一番気になるテーマは「ヒト」の問題だ。サラリーマン時代、別に人事にいたわけではないが、20年近く中間管理職のポジションにいて、人を管理し、人から管理された経験もある。しかしそんな経験値は最近全く役に立たないなぁと思う。ひとつは異次元の人手不足。ついに生産年齢人口は目に見えて減りだした。「お前の代わりはいくらでもいる」の時代に仕事をしていた時代の感覚や経験はもはや役に立たない。これから日本においてはヒトは最も希少な資源である。さらに加えて、自己肯定感の低下。もともと、謙虚謙譲が美徳の日本人は自己を肯定的に語る訓練をされてこなかった。しかしそんな一般論では説明がつかないくらいいまの現役世代の自己肯定感は低いようだ。少し前の内閣府の「子ども白書」で若者の意欲や自己肯定感の国際比較を行っている。これをみると日本だけ突出して低い。バブル崩壊後の失われた20年とか30年とか言われて久しいが、そうした日本特有の経済/社会が若者をこういう風にしたのか、それとも人々がこんなだから消費が伸びないのか。需給ギャップが何兆円あって財政出動で消費を後押ししろ、的な勇ましい論調が多いが、人々に意欲や活力がなければ経済なんて伸びっこない。中小企業も同じこと。昔は仕事を通じて自己実現や成長を志す生き方が当たり前だった。しかしいまは仕事はあくまで生活の一部。ネット、ゲーム、推し活等々、仕事以外に時間と生きがいを見出す人が恐ろしく多い。これからますます希少な資源である「ヒト」が働く意欲、働く意味を見いだせない社会は、既に起きていることなのかもしれないが、恐ろしい。いくら売上が、変動費が、固定費が、と数字をみてご託を並べても数字をつくるのはやっぱヒトだ。いかに働く人々の心に火を灯すのかが、すべての経営者にとってど真ん中の経営課題なんだろうなぁと、つくづく思うきょうこの頃。

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