シルバーモンスター

クライアントである飲食店店主の最近の悩みは、高齢者のクレームらしい。意味不明な理由で「どういうつもりだ」とお店の人を威嚇・罵声を浴びせ、しかもそれを延々とやるらしい。せっかくのお店の雰囲気が台無し、他の客にも迷惑だ。店主は本当なら表出ろと応じてもいいのだが、それもできずただただお詫び。ったく、だ。クリーニング店に勤務する妹からも同じような話を聞いた。すぐキレる、文句を言うのは決まって高齢者70代くらいの男性らしい。団塊の世代はそもそも数が多い。どの年代にもヘンなヤツは一定数いるからたまたまその絶対数が多いのかもしれない、と思うが、どうもそれでは納得がいかない。調べてみるとそういう困った奴らは最近「シルバーモンスター」と呼ばれてあちこちで問題を起しているらしい。「プライドは高いが、定年後にすることがなく、自分の存在意義を感じられなくなっている人」が「クレームを言うことで自分の存在意義を確認できる」から、こうしたモンスターになるのではという解説だった。なるほど。それならわかる。実は、僕は昔からこの団塊の世代の人々にある種の違和感を結構強くもちつつ接してきた。日本で初めて自由と民主主義を標榜できる戦後に彼らは生まれた。いまでいうリベラル。自由に自分の生き方を模索し主張できる初めての世代だった。反権力、反体制。学生運動にも興じ、町でゲバ棒ふるったり火炎瓶投げたりしたのも彼らだ。高度成長。消費者も働き手もどんどん増えた時代。需要と供給の拡大の好循環。円ドルは360円台。いま考えればとてつもなくイージーな時代。そんな時代に女房子どもを省みず馬車馬みたいに会社で働いて夜な夜な飲んで帰って土日もゴルフ、接待、休日出勤。あんな働き方はしたくないと当時20代の僕は強烈に思った。役職定年制導入前。給料も役職も下がらず定年を迎えていわば「逃げ切った」世代。そんなやつらが、現役世代に「どういうつもりだ」と牙をむいている。「どういうつもりだ」はこっちの台詞だ。「新聞」購読がいま急速に退潮傾向だが、この段階の世代が後期高齢者になるころから急激に減っている。要するに朝日とか毎日とか左巻きの新聞は団塊の世代によって支えられたわけだ。「だったらどうするのか」の意見もなく世の中を指弾し、年金だけはしっかりもらっている人たち。高齢者に甘すぎる日本の政治や仕組みをそろそろ本気で変えたほうがいいと思う。

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