美しき隠れ里

昨年の豪雨で球磨川が氾濫して甚大な被害が発生した人吉市に初めて行ってきた。人吉球磨は「相良700年が生んだ保守と進取の文化―日本でもっとも豊かな隠れ里」と2015年の日本遺産では認定されている。その名のとおり、とても穏やかで豊かな隠れ里だった。きょうはわずか数時間の滞在だったが、球磨川氾濫の被害がいかに深刻なものか十分実感できた。川沿いには「HASSENBA」という新たな集客施設ができる一方、おそらく解体された住宅建物の跡と思われる空き地が市中心部のあちこちに見られた。国宝・青井阿蘇神社も水に浸かったことがわかった。地域の誇りが深く傷ついたことに、ここに住む人たちの心の痛手はいかばかりだったろうか。きょうは穏やかに見えた球磨川は、流れ来た土砂が堆積し、被災前1-2メートルあった水深がいまは浅いところで数十センチになっていた。人吉市からさらに下流の球磨村は被害がもっと深刻だという。毎度当たり前のことだけど、災害被害というのは自分の目と耳で直接触れないとちゃんと理解できない。わずか3時間の滞在ではとても被害の全貌はつかめるはずもないけれど、本当に深刻な被害だったということ、その影響がいまだに続いていることが遅まきながらようやく理解できた。

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