予言の自己成就
きのうまた新しい言葉を知った。「予言の自己成就」 日米開戦はなぜ起こったかのNHKの番組(まだちゃんと観れていない)の中で中野信子氏が紹介した言葉。当時、軍も含めた国の指導者はアメリカとの圧倒的な戦力差を知っており戦争回避という合理的な選択肢を知りながら9月の御前会議で「対英米戦争も辞さず」の一言を入れたところから、どうやって戦争を遂行するか(HOW)の議論にすり替わったという。予言の自己成就とは、(1)最初に誤った状況の前提を置いてしまうと、(2)それがあたらしい行動を引き起こし、(3)それ以外の要因で結果が引き起こされたにもかかわらず、(4)その行動が「最初の誤った考え」を真実だとする考えを強めてしまう、という、いわば悪循環のセオリーで、中野氏は日米開戦はまさにこの「対英米戦争を辞さず」のワンフレーズが始まりだったという。「嘘から出たまこと」というやつか。僕の大嫌いなトランプもほぼこれ。バカなじゃないの的なフェークな話を最初に平気でいうが、 そこに無知な人々の熱狂が加わり、いつの間にかみんな巻き込まれていつしか本当にそうなってしまう。相当厄介だ。その意味ですごく気になるのは中国の台湾に対するスタンス。もう完全に予言の自己成就のプロセスに入ってしまっている。彼らが覚醒して改心することなどまずない。日本にとって中国はずっと鬼門だ。原爆投下につながる太平洋戦争も、もとはといえば明治以来対中ハンドリングを間違ったから。かの国に正論やスジ論で臨みたい気持ちはわかるけれど、もはや世界のリーダーの座を降り、4年ごとに外交政策が振り子のようにふれるアメリカに盲従だとこの先はかなり危うい気もする。今後の国としての対中スタンスの位置取りは未踏の領域になる気がする。