半導体の対中規制

昨日の日経新聞に載った記事(「米、まず日本・オランダ照準 半導体の対中規制追随 -商務長官が名指し、近く本格協議か」)は、米中衝突の次元が上がり、米中というより中国対西側へと、ブロック経済化がますます進むことを感じさせるものだった。そもそも「半導体の対中規制」とは何か。先月アメリカ商務省の発表を報道する記事をサマると:商務省の産業安全保障局(BIS)がまず特定の高性能演算チップやそれを搭載したコンピューター製品を商務省の輸出規制リストに追加する。リストにはアメリカ国外で製造された製品も含まれる。半導体や製造装置を中国に輸出する企業は、その最終使用目的が中国のAIやスーパーコンピューターの開発、半導体製造施設での集積回路の開発・生産であることを認識した場合、BISに対して輸出許可を申請しなければならない。BISはそれを「原則不許可」の方針に則って審査する。仮に中国政府が審査を妨害するようなことがあれば、輸出先の中国企業は「エンティティーリスト」(アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリスト)に登録され、アメリカ由来の技術の利用を制限される。アメリカが日本をこの「禁輸措置」に含めようとするのは、世界的なシェアが高い日本の製造装置を禁輸対象に加えるためらしい。こうなると中国は最先端の半導体を製品として輸入することも自国で生産も事実上できなくなる。今回のウクライナ戦争でも半導体が調達できなくなったロシアはあっという間に劣勢に転じた。まだまだ進化を遂げる半導体は当然軍事転用され武器は高度化する。将来の米中軍事衝突を見据えていまから中国の武器進化を止めようということらしい。冷戦時代にあったココム(対共産圏輸出統制委員会)の復活だ。日本はかつてココム違反を犯し東芝がボコボコにされた。そうか、もう「戦争」は静かに事実上始まっているんだなぁと改めて思う。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20221106&ng=DGKKZO65759660V01C22A1EA3000

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