侵攻から1年
ウクライナ侵攻から1年の日。本当にあっという間の1年だった。まるで昨日のことのよう。無辜のウクライナ市民、子どもたちまでもがロジア軍に攻撃され殺され苦しむ姿は直視に耐えない。それでもこの1年持ち堪えいまもこうして国家として「そこにある」のは感動的である。テレビによく出るウクライナ人の政治学者のアンドリー・グレンコさんは先日ラジオ番組で「ロシアがウクライナ人や国家をこの世から抹殺しようとしているのは明らか。ウクライナがこの戦いに負ければウクライナ人はロシアに虐殺される。そのことがわかっているから戦うという選択肢しかウクライナには残されていない」と発言していて、改めて心に深く刺さった。ロシアが極めつけのならずもの国家(rogue state)であることは数々の戦争犯罪で広く証明された。中途半端な形で停戦して、このならず者国家と共存する(ウイズ・ロシア)道をウクライナは絶対に受け入れたくはないだろう。狂人プーチンも自ら停戦を言い出す可能性はなさそうだ。かくして戦争は一度始まったら収束はするどころかどんどんエスカレートするものなのだ。いったい何がどうなったらこの戦争が停戦に至るのかは僕にはもはや皆目わからない。むしろ僕らの心の中には既に、確実に、「ロシア憎し」「反ロシア」の感情が巣食っているし募っている。世界の紛争がいつまでも終わらないのはこの感情のためだ。インターネットメディアの発達で幸か不幸か遠いアジアでもウクライナの人々の悲しみと苦しみが伝播するようになった現代で、かくして対立と分断はさらに深まる。この戦争は既に事実上の世界大戦の「とば口」だという人もいる。そうかもしれない。それでもひとりの人間と感情として、このウクライナに連帯するしか他に選択肢はないと思う。