PARC

昨日の日経新聞に掲載された「パソコン生んだ名門研究所、ゼロックス『寄贈』の理由」という記事に思わず目が留まった。まだゼロックス持ってたのか。実は2000年代前半、ゼロックスからソニーに対し売却の打診があった。当時本社で事業戦略部門にいた僕は技術戦略部長に帯同する形で視察に行った。もう20年近く前の話。パロアルト研究所。略称PARC。シリコンバレーの丘のようなところにあった別荘地のような場所にあった。象牙の塔にこもる研究所というよりは、気持ちのいい風の中で研究者たちがコーヒーのみながら自由闊達に議論するという、今じゃ日本でも当たり前になったコ・ワーキングオフィスのような雰囲気だった。マッキントッシュのGUIがここから生まれていったという話も聞いていたし、訪問してこんな研究やってますというプレゼンもされて、それはそれでとても面白かったが、技術者でも研究者でもない僕は本当にその価値はわからなかったが奇想天外な新しいものを生みだそうというところだということだけはなんとなくわかった。時代はインターネット前夜。これからブロードバンドの時代が来る!っ言っていたくらいまだ世の中は全然アナログだった。ネットの時代になればコンテンツが大事になるといういま考えると毒にも薬にもならない予言はあったが、じゃ何をしていいのか暗中模索の時代だった。そこから数年後にソニーショックがあってああなってこうなってソニーだけではなくて電器産業全体が混迷の時代に入りリストラの嵐。R&Dも大幅に予算が削られる時代になった。PARCに行ったのはまだその前だったが、結局そんな古色蒼然たる研究所買っても意味ないという判断でそれ以上の話にはならなかった。あれから20年。まだゼロックスがPARCを持っていたということは結局買い手がどこにもなかったということ、そして寄贈ということはもう値段すらつかなかったということ。だから当時買わなくて正解だったと言えるのかもしれないが、ソニーだったらあの研究所意外にうまく使えたのかもという気がしなくもない。戯言だけど。

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