神回

神回との評判がたったNHKの番組「ファミリー・ヒストリー」草刈正雄編を昨晩NHKプラスで観た。評判通り確かに見応えある内容だった。「米軍に所属して朝鮮戦争に従軍」「父は郵便局員」「名前はロバート・トーラ」という、たったそれだけ情報で、一般に公開されている米軍在籍者検索サイトで検索、その対象者数は何十万人。途方もない捜索作業を経て結果「まぶたの父」にたどり着いた。日本人女性と米軍出征者とが恋仲になり子どもができ、どういう事情かわからないが、身重のままその女性を日本に置き去りにして帰国した米兵。子どもはいわば私生児で、一人置き去りにされたその女性は極貧の中で独りでその子を育てたという話。生まれた子は母から、父は朝鮮戦争で死んだと聞かされていたが、実際には10年前までは存命だったという。その私生児が草刈正雄で、日本で成功した有名な俳優。米兵だった父やその家系は、本当に古き良きアメリカ人家族という感じで、叔母にあたる父の姉が存命で、奇跡のような日米親戚対面が実現したというおまけつきだった。まぁ、僕も番組みてて感動したのだけれど、時間が経つにつれなんか複雑な気分。草刈正雄のケースは稀有な美談だったが、米兵が世界中に出兵する限り、数多の「美談でない」ケースがこの世には存在するのだろう。子は親を選べない。生まれた以上生きていかねばならない。本当に複雑だ。それにしても、個人情報のかたまりのようなこの番組。祖先があって自分がある。祖先の辛苦の歴史なんて知りようがないし、自分はそれを知りたいと思ったこともない。が、知ってしまうと、なぜ自分がこの世に生を受けて、いかに生きるべきかにきっと深く思いを致すのだろう。芸能人を通してある種追随する疑似体験のようなものなのかもしれないが、そんなことをわざわざ世間様に明かさなくてもと思ってしまう自分もいる。ほんと、ビミョーな番組だ。草刈正雄編は別日に日米対面を特別番組でやるらしい。嗚呼、たぶんきっと観てしまう…

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